ミラーニューロンは人間らしさの神経細胞

ミラーニューロンとは?

ミラーニューロンとは、神経生理学者の
ジャコモ・リゾラッティ氏が発見した、
他の人の動きからその人の「意図」を読み取ることが
できる神経細胞のことです。

他の人の動きを見ると、
自分がまるで同じような動きをした時と
同じニューロンが発火します。

面白いことに、ただの無作為な動きには反応せず、
相手の意図が理解できる時だけに活性化します。

とくに、手や口といった部位に関わる動きに反応します。

共感・模倣・学習

このミラーニューロンの主な働きは、
他の人の動きの意図を理解することにあります。

つまり共感や模倣、学習において非常に重要な
役割のある脳の神経細胞だということです。

昔から職人技やお稽古事は、見て盗めといいますし、
学習ということは真似ることが根本にあります。

無意識的でも、電車の中で向かい側の人が
あくびをするとこちらもあくびをしたくなったり、
相手と同調していると、
同じような姿勢や仕草をとったりします。

また、ミラーニューロンは、
相手の行動から意図を読み取る以外にも、
相手の情動を読み取ることができます。

泣いてる人をみると、もらい泣きをする。
怒っている人をみるとこちらもイライラしてくる。
こういった場合も、このニューロンの働きです。

ミラーニューロンは、前頭葉にあるブローカ野という
言語や手話に関係する部分、頭頂葉、側頭葉の上側頭溝、
前頭葉の腹側運動前野などに存在すると考えられています。

ミラーニューロンと言語

このミラーニューロンが、言語の元になったという考え方もあります。

身振り手振りが進化して、喉で音を発生し、
遠くまで相手に意図を伝えるということです。

ですので、今でも話す時に手を交えた方が
話しやすいことに繋がります。
コミニュケーションの根源はこのニューロンにあります。

ミラーニューロンと道具の使用

道具を使うとその周辺まで自分の空間が広がります。
そのことによって、道具の位置感覚が分かり使いこなすことが出来ます。

手を伸ばせば届く範囲の近位空間が、
その道具によってさらに広がる感覚です。

例えば車の運転をするときの車体感覚は、
ミラーニューロンによる働きです。

ミラーニューロンと皮膚感覚

皮膚から数センチから40センチにまで及ぶ空間の感覚も
このニューロンによるものです。皮膚に手を近づけると活性化します。
皮膚の体性感覚受容野を、3次元に拡大したものです。

手かざしなどのヒーリングや気功などによって、
触れていなくともビリビリと何かを感じることがあります。

これはエネルギーが出ているのではなく、
視覚を通したミラーニューロンの働きにより、
実際に触れているのと似たような反応が
身体に起こることを示しています。

視覚以外のミラーニューロン

音などによってもその意図を理解できる場合は、
視覚なしでも反応します。

ドアをバタンと強く閉めたりすると、
怒っていることが分かりますね。

またいくつかの感覚を司っている
神経も見つかっています。

バイモーダル(二重様相)ニューロンは、
体性感覚+視覚ニューロンです。

トリモーダル(三重様相)ニューロンは、
体性感覚視覚+聴覚ニューロンです。

色々な感覚入力がミックスされて、
運動に繋がり得るというのは面白いですね。

運動療法として

ほかの人の動きを観察によって、ミラーニューロンが活性化され、
見ている人の動きの改善に結びつくという説もあります。

これは、運動学習において、見本を示してもらってから動いた方が、
動きやすいという事にも繋がります。

しかし見る人の経験にない動きには反応しません。
これもミラーニューロンの特徴で、その動きの経験がなく、
意図が読み取りにくいと反応しないという事です。

1:1で行うテニス、ボクシング、卓球のようなスポーツや、
合気道などの武道では、このミラーニューロンの働きを
知っておくと良いかもしれません。

なぜならお互いに視覚から相手の動きを読み取り、
意図を読み合い、相手の予測を裏切らないといけないからです。

結びの言葉

ミラーニューロンシステムは、人間における言語、
道具、コミュニケーション、他人への理解、模倣、学習、
自分の空間など人間らしさを司る
とても大切な神経細胞だということです。

神経共鳴と呼ぶ方もいます。

人と人は脳と脳、神経系と神経系が共鳴し、
相互作用しあう事でコミュニケーションをとっています。

人に触れる仕事は、特にこのミラーニューロンについて
知っておくことが必要ですね。

参考文献:
ミラーニューロン /ジャコモ・リゾラッティ&コラド・シ二ガリア 著

リハビリテーションのための脳・神経科学入門-イメージの科学/森岡周 著